ときどきノー・レーズン・サンド日記

幸せって言ってもらえる|ウインターフィグのこと

2021.12.10

ノーレーズンサンドの工房を作ってから半年くらいが経った。工房に入ろうとすると、外までサブレの焼ける甘く香ばしい匂いが漂ってきて、わー、 私お菓子屋さんになったんだって実感する。工房の中ではキッチンチームのみんなが丁寧に丁寧にお菓子を作っている。

この日々の中で驚いていることがひとつあって、それは、いろんな人からめちゃくちゃ気軽に「幸せ」と言ってもらえることだ。

これまで会社員や文筆業をしていて、こんなことはなかった。素敵な原稿ありがとうございますとか、ご一緒できて光栄ですとか、本面白かったですとか、色々と労いの言葉はあれど「幸せです」は、なかなか出てこない。

 でも。

ノーレーズンサンドをやり始めて、買ってくれた方々がSNSで投稿してくれる感想を見ていると(めちゃ至福の時間)、「おいしくて幸せ」とか「幸せな時間」とか、もうみんな、めちゃくちゃ気軽に、幸せって呟いてくれる。

考えてみれば私もそうだ。ものを食べるとき、おいしいの次について出る言葉は幸せであって、素晴らしい食べものに出会うとIKKOさんも驚くような頻度と声量で「幸せ〜」と連呼している(迷惑)。

幸せ、か。 改めて辞書で「幸せ」って引いてみると「心が満ち足りていること」と出てきた。

そうか。これが食べものの力か、と思う。食べものは人の柔らかな領域にするすると上がり込み、本人も知らぬ間に心まで満たすことができる。そういうポテンシャルを持ってる。おいしいものを食べた人の笑顔に嘘がないのは、きっとそのせいだ。

おいしさの力。心まで届けられること。

食の仕事に携わる人のやりがいってきっとこういうところにあるんだろうと実感しながら私は、お菓子の魅力になおのこと取り憑かれて年末を迎える。

🎄

さて。今メインを張ってるフレーバーは「WINTER FIG」。12月から1月までの冬味です(突然の宣伝感w)。

冬って一番好きな季節で、好きなところを挙げだしたらキリがないのだけれど、街がきらきらと輝いて、どこからともなくクリスマスソングが流れてくる、あの浮足立つようなホリデーシーズンにぴったりのフレーバーになりました。

 じゃーん

主役はイチジク。冬の色気たっぷりのスパイスと赤ワインでじっくり煮込んだイチジクを(ホットワインのイメージです🍷)、キャラメル香るバタークリームに乗せ、シナモン入りのふくよかなサブレでサンド。イチジクがプチプチ弾けるたびに心踊る、冬のときめきが詰まったバターサンドです。本当においしいです。サンタもきっと好物です。赤いサテンのリボンがまた可愛くてさ。クリスマスにもお正月にも似合う縁起のいい子ですよ(溺愛)。

ぜひ、ウインターフィグと一緒にあったかいお茶の時間を過ごしてもらえたら嬉しいし、ワインと一緒に楽しむのもよさそうです(そう、ノーレーズンサンドはお酒ともよく合うと評判なのです)。年末から年始まで、一年の中でも最も前向きで清々しい気分になれる特別な日々に、そっと寄り添えるお菓子であれたら嬉しいです。

幸せ、きっとお届けできますように。

ノーレーズンサンド工房からみんなで心を込めて、送り出します。(私も、お菓子は作れないけどリボンはせっせと結んでます。かなり早く結べるようになったよ〜。←今年目に見えて成長した一番の出来事かも)

 

written by Sakiko Hirano

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